かの千寿ムラマサ先生もおっしゃってました、「100点満点中100万点くらい面白かったです」と。
そこで『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』、観てきました。以下、ネタバレ感想です。
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追記:円盤出ました!

かの千寿ムラマサ先生もおっしゃってました、「100点満点中100万点くらい面白かったです」と。
自分にとってTVアニメ『響け!ユーフォニアム』とは、そういう作品です。TVシリーズを延々と繰り返し見続けてた自分には、画面が大きくなって、音響が良くなったくらいではもう心が動かされないだろうと。

結論としては……100点満点中2億点くらい面白かったですっ!


TVシリーズでは久美子と麗奈、みぞれと希美、夏紀と優子、三年生トリオなど、青春群像劇で描かれていました。今回の劇場版は「あすかと久美子」二人に焦点を絞った物語になっています。新海誠監督も面白かったとおっしゃってますが、初見なのにTV版を観てなくても違和感がないというのは非常に難しいんです。
元々TVシリーズの尺の情報量を2時間に圧縮しなきゃいけないわけで、どうしても取りこぼしが出てきます。
情報のコントロールが上手くて、あすかと久美子にピントを絞って、そのスキマを大量の新作カットで埋めるやり方だったが功を奏してます。ここまでやるならもう新作でいいじゃん、ってくらい。


とにかく二人の新規カットの多いこと多いこと。シーンとシーンの間のわずかなカットまで手が入ってます。例えば全国大会で進藤正和(あすかの父)の手元とか、一瞬で過ぎてしまうようなところまで。
三分の一くらいは新規だったような気がするんだけど、盛りすぎでしょうか。
あすか
夏アニメに京アニ作品がなくて寂しかったけど、ここまで作り込んでたら、これはもう完敗だ。さすが京アニ、さすが『ユーフォ』。

特にあすかの子供時代が分厚く語られているのが大きい。父から送られてきたユーフォ。そのチラシを大人になっても眺め続けるあすかの横顔は、大人びた「特別な田中あすか」じゃなくて、年相応の高校生のもの。彼女の素の感情が伝わってきて本当に感無量。
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平気で人を傷つける、何考えてるか理解できないモンスター田中あすかも、ちゃんと人の子だったんだ!と変な感動すらした。
(めちゃくちゃヒドイこと言ってます)

だからこそ、久美子があすかを呼び出して説得シーンの盛り上がりも尋常じゃない。
「今、吹いてほしいくらい!」って台詞もちょっと変わってるんですよねあそこ。
「子供で何が悪いんです! 先輩だってただの高校生なのに!」って言われたあすかが、そこで子供に戻るんですよね。
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その子供時代を、劇場版では映像として冒頭に描いてます。TV版ではあすか先輩の子供時代なんて想像付かないくらい、大人びてて完璧だったから、イメージが付きづらかった部分。ここを補完してるんだ。すげー!


他にもサプライズで嬉しかったのは、文化祭をじっくりと、ほぼ新規シーンでたくさん描かれていたこと。本番前にどっかに行っちゃう久美子を探し出す麗奈。
こいつらまたイチャイチャしおって……とニヤニヤが止まらないよかったよ、映画館が暗がりで!

中盤の展開。ビンタに始まり、あすか不在の北宇治吹奏楽部が動揺するところ。TVで描かれなかった部員たちの戸惑いもきっちり映す。
「あすかは特別じゃなかった」って小笠原部長が説くシーンは、シチュエーションが変わっていてかなり印象的な改変でした。あ、今回はそう語らせるのね、みたいな。

あと腑抜けた部員たちへ、滝先生の「なんですか、これ」が復活してて笑った。

あすか不在で他の部員たちがてんやわんやする様は、映画『桐島、部活やめるってよ』を思い出させた
かの映画では「桐島=キリスト説」が論じられていた。北宇治吹奏楽部にとってのあすかは、キリストまではいかないにしろ、演奏が成功する保証、部の中心だったわけで。
大人たちが同じ状況になっても、きっとこうはならないでしょう。思春期の少女たちだからこそ、この不安定さが一瞬のきらめきの美しさになっている。
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「あすかと久美子」の物語といいつつ、姉の麻美子の家族ケンカも新たな角度で、新たな作画で用意してます。ほんと贅沢。
それだけ重要なシーンなんですよ。久美子があすかを説得する時に、麻美子が夢を追いかけずに後悔するくだりを見ていたからってのは大きいから。焦がした鍋を掃除しながら語り合うところも言い回しが変わっていたりして、TVで繰り返し見ててもすごく新鮮。

でもやっぱり主役はあすかなんでしょう。全国大会が終わってから、ミーティングを飛び出した久美子が麻美子に橋の所で呼び止める。例の「お姉ちゃん、大好きだよ!」のシーンも全カット!
思い切ったなあー。さっき言った2時間に収めるための取捨選択。感動はあくまでもあすかと久美子のみ。感動の軸をぶらさないためにも削ったんでしょう。

驚いたのが、橋のエピソードのアフターを描いてます。勝手に飛び出していった久美子を迎えに来るあすか。
そこで序盤の「黄前ちゃん、ユーフォ好き?」の問いかけを、もう一度繰り返す。
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久美子が微笑みながら「はいっ!」と返事する
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うぉー! 冒頭のあれ、そこにつなげる!? つなげちゃうんだ!
麻美子とのやり取りの後で、こんなこと語ってたの黄前ちゃん!?


ここ、マジでパーフェクツッ! TVシリーズを越える改変はないだろうと高をくくっていたけど、この追加シーンは想像を越えた感動だった。
ここだけのために1800円は安いぞ。

ちなみに今回の劇場版、文化祭のあとに合宿シーンを描く順番だったから、
「あれ? これ違う世界線の話?もしかして今度は、全国で「金賞」取っちゃうってこと!?
とアホな期待までしてしまった。審査員が結果発表するシーンも新規だったから、なおさら期待しちゃったじゃん!


その全国大会で、例の超絶作画の演奏シーンが流れる。難しいパートで一期で久美子が鼻血まで出して練習していた所。TV版ではそこを吹ききって、秀一とあすかから視線だけで「やったな」って顔されるんだけど、今回は「あすかと久美子の物語」ですから。

二人を交互に映してからのツーショット、からの、
あすかのチラッ視線キタコレ!!

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久美子がホールの天井を見上げて回想するのも合宿ではなく、すべてあすか一色! もうお前ら付き合っちまえーっ!

演奏シーンっていえば、今回「えきびるコンサート」の『宝島』がフル演奏になって、後半がまるっと新規。

『響け!ユーフォニアム』のファンは、好きすぎて度が過ぎると、一つの病気が発症します。
それは劇中で名前すら呼ばれてない、モブの堺万紗子ちゃんにベタ惚れするっていうマニアの性。
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堺万紗子ちゃんがカスタネット?クラリネット?をチャカチャカ鳴らしてるシーン、2秒くらいなんだけど、脳内に動画でROCK音!ですわ。
萌えシーンだと、あすかの家で正座する久美子の膝小僧がエロかったなあ。

……などなど、言い出すとキリがないので。
総評としては、多彩な女の子たちにカメラが当たっていたTV版と、あすかと久美子にフォーカスした劇場版。同じ物語なのに、ここまで受ける印象が違うのかという嬉しい驚き。
TVの石原立也監督と、劇場版の小川太一監督の個性の差なんでしょう。

同じ物語を、違う角度から映すっていう新たなユーフォ体験。すんごく大満足でした!!!

■おまけ
冒頭に寸劇が始まって、上映中でも撮影OKできるっていうフォトセッション。面白い試み。
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※注意:以下、今回の劇場版が大好きな方は読まないでください。こじらせたファンの暴言です。





はい。「100点満点中2億点面白かった」ことに嘘偽りはありません。でも苦言を呈しますけど。


なんで吉川優子の出番がほとんどないんじゃーーーーっ!!!


深夜の合宿のパーカーで久美子に「フンッ!」って照れる横顔も、文化祭のメイド夏紀からの巨大ケーキも、泣きそうなのに「もしかして慰めてくれてる?」って夏紀をからかうのも、新部長になって「もー、バカにしてー!」ってスライム顔になるところも、すべてカット!
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はい、理解できます。今回はあすかと久美子の話なんですよね。
だから、あすかに近い夏紀はいっぱい出てるけど、優子のポジションはかなり遠いわけで、理屈はわかるよ、OKOK。

でもね、オレにとって『響け!ユーフォニアム』ってのは、

『響け!ユウコニアム』なの!?


お、おわかりかしら?

一期の劇場版では、麗奈に頭を下げてわざと負けてくれって懇願する時、悔しそうな顔を新規カットで下から映してた、あの京アニ様が……。
優子がドアップの新規カットはたぶん1つあったと思うんだけど、それすら一瞬すぎて忘却の彼方ですわ。
卒業式の日に香織先輩の胸元に顔うずめているのは、別角度からでグッドでした。

……ほんと、これだけ素晴らしい映画を見ておきながら、まだ文句を垂れる自分の厚かましさにびっくりするわ。
「マニアがジャンルを殺す」といったブシロードの木谷社長の言うとおりですなっ!


でもそれを言ったら麗奈も、久美子に並ぶメインヒロインなのに、今回はモブ化してますけどね!
ビックリしたわー、この扱い。
滝先生への恋心も、ショック状態でカレーを喰いながらボロボロこぼすところも、生活感溢れる紫のブラがむしろ興奮する着替えシーンも全スルー!
まさか麗奈さんが部員Aですよ!
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「私が一番、久美子と仲良しになれるんだ」って独房に入ってるアムロよろしく、猛烈に悔しがっているに違いない。

一期で目立っていた麗奈と優子は、今回あすか先輩に出番を譲ったってことかな、アハハ……。
いったい何億積めば京アニは『響け!ユウコニアム』を作ってくれるんだろうか。宝くじ買いながら石油でも掘るとするかなあ。


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かーずSP : かーずSP的『響け!ユーフォニアム』総論2~「共感」と「リアル」を追求した青春フィルム~
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