かーずSP

『コープスパーティーブラッドカバー』がマジでパネェ

同人ゲームのコープスパーティーブラッドカバー、終わりました。




怖えええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!

なんすかこれ! コープスパーティー – Wikipediaに詳しく載ってますが、昔これが話題になっていたことはなんとなく名前だけ知っていたという程度で、特に注目もしてなかったんですが、上江洲誠さんと祁答院慎さんの不思議なご縁で興味を持ったのをきっかけに、冬コミで出た最新版(チャプター3+αシナリオ)をプレイしたんですが、「正直、ホラー言うても絵がRPGツクールのまんまなんてなぁ、せめて普通のAVG画面にリメイクしてくれたら……」と懐疑的であった(こういう感じ)。

オープニングをスタートさせると、怪談話をしていたらクラスメイトたちが異次元の学校に飛ばされるところから物語は始まる。テンポ良く進むのでかなり惹かれるが、やっぱり絵はツクールだし、と僕の舐めた態度は変わらず、しかもキャラクターがみんな状況に素直すぎるのも引っかかった。
人魂が出ても、「きゃー!……あ、人魂なんだ、え? 何か話しかけてくるよ」とタモリ倶楽部のゲストを迎えるがごとしの動じなさっぷりで応対するヒロインたち。おまえらタモさんか。もうちっと失神するとかないのかな~。しかもその人魂が「ここは多重閉鎖空間で、同じ場所でも仲間とは会えないこともある云々」と冒頭からうんちくをかましてくれるんでなんだか剣乃ゆきひろゲーの気分。剣乃(現・菅野)さん場合はその敷居の高さをもろともしない強力なフックで物語を牽引してますけど、これは絵のチープさとタモさん並の登場人物に、そこまでのめり込むことはないだろうと思っていた。

が、このゲームにケチをつけるのもせいぜいここまで。この後、第三章まで一気に終えたかーずは、ただひたすらにこのゲームに翻弄されて踊らされる羽目に。

冒頭を終えて自由に歩き回れるようになると、プレイ感覚はかのファミコン時代の名作『スウィートホーム』を思い出すなぁと思っていたら、後で知ったんですが案の定、それに触発されて制作されたようで。
あちこち歩き回って、「調べる」とイベントが発生したり、アイテムが手に入って、それを使って道を切り開いたりしながら話を進めていくんですが、その時出てくる状況がいちいち嫌悪感を刺激する。蛆虫の沸いたバケツだとか、腐乱途中の死体だとか。壁に貼ってある張り紙一つ取っても、

下校時刻を過ぎています。残っている生徒は

もう帰れません

全部こんな感じですわ。悪意しかないこんな廃校でどうやって脱出しろと……。イベントもどいつもこいつもいい加減にしろというくらい湿度の高いアレな感じ。最初の保健室なんかちょっとチビッたからねっ! まったくもう、パンツ代弁償せい。ちなみに佐藤利奈のあの空で逢いましょう♪F第92回で、佐藤さんが同じところで詰まっていて笑った

ここまで来て思ったのは、ゲームの究極って「ボタンを押すこと」だよねってこと。今やグラフィックが綺麗になって、今や実写といってもいいくらいのものまである。最初に『バイオハザード』や『零』をやった時にもビビりまくったけど、それらと同等の恐怖を、このチープなツクール絵からも受け取ることが出来た。ボタンを押すことで物語に参加させ、感情移入させる。それってTVや小説、漫画にはできない利点だよね。そしてそれを上手く利用している。これ本当に素人の作品なの? どう見てもこの演出、プロの犯行です。
繰り返すけどあの保健室のイベントはあまりに怖すぎて、何度リトライしても心臓がバクバクいって止まらなかったです。

そんでもってかかっている曲がむちゃむちゃ怖すぎる。『スウィートホーム』は、最初無音から始まって嫌なBGMがだんだんボリュームを上げていき、最高潮に達した時に敵とエンカウントするという演出が神がかっていますが、こちらは歩き回っている時にかかる曲は2曲+無音(第三章では増えてます)。同じ曲がかかりっぱなしだと、どんなにインパクトがあっても印象は薄くなる、人は刺激には慣れますからね。このゲームでは教室に出入りする時、アイテムを拾った時などに曲が変わったり、無音になったりする。だから常に何かがこれから起こる予感がして、緊張して気が休めない。歩いた時に木の床がギシッと鳴る音にも反応してしまう。でも何も起こらない。で、ホッとした次の瞬間に怖いイベントが起きたりしてびびらせられると、もう勘弁してくれと泣きたくなる。
声優の演技もまた迫真に迫っているので臨場感が出まくっている。公開されている名前は一人も知らないんだけど、素人じゃなくてプロが名前を変えているの?

さらに何よりも上手いのは情報量の出し方と人物描写。30年前の事件の関係者、そして僕らよりも前に迷い込んだ哀れな犠牲者たちの死体が遺書を残していたり幽霊が出てきて言葉として、当時の状況や心境を語ってくるんだけど、それらを知るにつれてだんだんと当時の状況が浮き彫りになってくる。当然、拷問死や裏切りなどマイナス方面にだ。
少しだけ書くと、とあるお姉様を慕っていた女の子(の死体)があるんですが、最後に恨んで死んでいったらしく、その台詞がまた……。破局した紅薔薇姉妹といった案配でしょうか、嫌すぎる福沢祐巳ちゃんが拝めます(なんちゅう説明だ)。

人物描写の上手さはプレイヤーたちにも及ぶ。第一章では直美と世以子、第二章の先生たち、などなど多角的に人物を操作させることで人間ドラマを俯瞰的に、奥深く描くことに成功している。第一章で不快に思っていたアレが、第二章のラストで明らかになった時には恐怖と切なさで、俺の心は白旗を振って

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こういう気持ちに。冒頭の説明過剰はまあ、しょうがないかという気になってくる。多重閉鎖空間の説明はしないと矛盾だらけに見えてしまうからね。
各章の終わり方も見事に余韻を持たせて、次への期待感を煽る見せ方をしていて感心した。

このゲーム、iアプリでも出ているが、お奨めするのは断然PCリメイクの『ブラッドカバー』。理由は前述の曲と効果音と声優さんのボイスがすばらしく怖いので、これがあるのとないのとでは大違い、いつもゲームは音声を消している人も、こればかりは音ありでプレイしてほしい。プレイ時間は一章で1時間~1時間半くらい? もうのめり込みすぎて時間の感覚がなかったんだけど、冗長にだらだらしてなくて、映画を観るように恐怖体験が出来ます。

ここまで盛り上がっていてなんですが、とらのあなやメロンブックスではすでに完売。Dステージあきばお~こくにはまだ在庫あるみたい。

ひぐらしのようにコミケごとに毎章追加されていくらしく、次回の第4章もすげー楽しみ。
あとFRONTIER WORKSさんからドラマCDも出るようで、これに上江洲誠さんがシナリオを書いているんだよね。このまま『ひぐらし』のようにアニメ化まで行ってくれないかなぁ。

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