皆さんの「お前、まだ語るんかい!」という声が聞こえてきそうだけど……
だったらなんだっていうんですか! みんなの言う事は正しいです。
サイトの事も、かーずSPのことも全部正しい……
でもそんなのはどうでもいいんです!
『響け!ユーフォニアム』を語りたい。わたしが語りたいんですっ!(CV 黒沢ともよ)
■百合アニメとしての『ユーフォ』
久美子の成長や、フィルムに込められた共感とリアルが『響け!ユーフォニアム』の面白さだと語りましたが、百合としてこの作品を楽しむ事もできます。主役の久美子と麗奈が一期8話で高台に登って二人で演奏するシーンが百合界隈をざわつかせたのも記憶に新しいです。
ですが私としては、「あすかー久美子」にも先輩後輩を越えた魂の結びつきを感じるんですね。
連想させるのは、小説『マリア様がみてる』です。
あすかと久美子を見ていると、この作品に登場する3年生の佐藤聖と1年生の福沢祐巳の関係を思い出してニヤニヤしてしまう。
可愛いよりもカッコいい系のなんでもできるスーパーマンと、ウブな庶民派という位置づけが似てる。
よく、あすかが久美子の髪の毛をモサモサしたりほっぺたをムニムニと悪戯してますが、聖様も祐巳にセクハラしてますしね。それに明るく振る舞っているけど実は闇を抱えているところも、あすかと聖の共通点かなって。
まあでもやっぱり「麗奈ー久美子」ラインが鉄板だというのはわかります!
久美子「もしも裏切ったら、殺していい。」
麗奈「本気で殺すよ?」
久美子「麗奈ならしかねないもの。それがわかった上で言ってる。だってこれは・・・『愛の告白』だから。」
イチャイチャなラブというよりも、なんというか破滅願望にも似た純文学を感じる一幕で、ゾッとするんですよね。麗奈が久美子を誘って心中しかねない怖さがある。そして予選大会の発表や花火大会など、事ある毎に恋人つなぎする二人!
高度に発達した女の友情は、百合と見分けがつかない
■希美が見られなかった光景
二期5話「きせきのハーモニー」より
二期5話の演奏シーンで、久美子から見た会場の様子。いろんな光の斑点が浮かび、強烈なライトを浴びた本番の風景が幻想的だ。
一期の練習では久美子は橋の上で「上手くなりたい、上手くなりたい」と悔し泣きをするほどで、練習のしすぎで鼻血を出してしまうほど。本人にとっては非常に辛い、苦しいことも多かった部活動。しかし、それを乗り越えることで見える景色の美しさがここにある。
その光景は、チームもなか(レギュラー落ちしたメンバー。詳しくはTV未放映話を参照)は見られないものの、一生懸命祈っている。
残酷なのは、ただ一人だけ反対方向を向いている希美だ。南中時代から真面目に取り組んでいた吹奏楽。あの時辞めていなければ、同じ舞台に立って、同じ光景が見られたかもしれない。しかし一度リタイアしてしまった彼女には、その景色を見ることも、チームもなかに混ざって祈ることもできない……。
2期5話「きせきのハーモニー」より
上を見上げた希美の表情は、みぞれのソロが上手くできることを信じていながらも、自分がそこに立てない悔恨の感情も含まれているのではないかと、心中を察して泣けてしまうシーンです。
■京都アニメーションの得意技「美人が目を伏して、そっと微笑む」
中世古香織先輩はソロパート争いで麗奈に負けたが、その時の府大会本番で麗奈のソロパートを聞きながら、悲しいような、諦めたような、なんとも言えない切ない表情で伏し目がちになって、微笑む顔が非常に印象に残る。
一期最終回「さよならコンクール」より
これで思い出すのが、同じ京都アニメーション『境界の彼方』の名瀬泉です。
名瀬美月「末っ子という理由で、小さい頃からおるすばん専門だったのよ。いい加減、卒業させてもらいます。」
『境界の彼方』12話「灰色の世界」より
守る存在だった妹・名瀬美月(くしくも香織先輩と同じ声優、茅原実里さん!)が最終バトルで頼もしく参戦した時に見せた、
「ああ、この子も一人前になったのね。嬉しい反面、ちょっと寂しいかも」という表情で、同じ憂いを帯びた微笑みを見せる。
ちなみに『氷菓』の入須先輩も顔を伏して笑みを浮かべるシーンがあるんですが、これは奉太郎が特別だと言われて誘いに乗って、うまく人を動かせたというニヤリなので、ちょっと怖い。
そして入須先輩、泉姉さん、田中あすかは全員、みんな顔に一本長い髪の束が垂れてるところも共通している。京アニは『年上の女は前髪を一本垂らせ』って美学でもあるんだろうか。
■
話は戻って香織先輩は、関西大会の時にはもう吹っ切ったと思われる横顔が、麗奈のソロパートの時に一瞬映る。
そして卒部会での1,2年生による『三日月の舞』では、香織先輩は麗奈のソロパートの時に指をピクリを動かして、でも明らかに楽しい演奏を見る微笑みに変わっているのだ。そのままソロ争いの回想が流れる。
二期13話「はるさきエピローグ」より
つまり、もう香織の中では高校の部活動は過去の思い出。過ぎ去った青春の1ページにすぎないことを示唆しているんですよね。たった10ヶ月前の出来事なのに!
大人になってからの10ヶ月はあっという間だ。だけど高校時代の10ヶ月は、あれだけ悔しい思いをしたソロ争いもあっという間に過去に変えてしまう。青春とは一瞬の瞬きのようで、そのかけがえのない煌めきを、それでも香織先輩は一生忘れないだろう。
■『響け!ユーフォニアム』の指すユーフォとは?
私はアニメのタイトルが、最終回のタイトルになるっていう演出にニヤリとしてしまう性格です。ところがこの『響け!ユーフォニアム2』では、最終話ではなく9話のサブタイトルに持ってきていて「そういう変化球も嫌いじゃないぜ」と見てみたら、最後にあすか先輩が河原で吹いていて、
「久美子じゃなくてお前のユーフォかよ!」って思わずTVにツッコミ入れたんですが、このタイトル遊びはここで終わらなかった。
最終話、あすかから貰ったノートに書かれた、その曲の名前は「響け!ユーフォニアム」。9話で消化したと思っていたタイトル名のフラグがここでもう一度復活して、号泣してしまいました。
つまり『響け!ユーフォニアム』とは元々あすかの父親が、あすかに贈った曲とユーフォを指している。そして、その曲はあすかから久美子に受け継がれていく。つまり作品名としての『響け!ユーフォニアム』が指すユーフォとは、久美子とあすか、両方のユーフォを意味しているのだ。
正直、群像劇とはいえ物語の中心は「久美子ー麗奈」の関係性を描く作品だと思っていたので、二期の後半から最後までずっと、あすか先輩にスポットがあたるのが意外でしたが、これでようやくすべての合点がいった。
そして麗奈も滝先生から、おそらく奥さんとの思い出の詰まったであろう曲を受け継いでいる。麗奈も久美子も、渡された楽曲を、その後の人生で誰かに託す時が来るのだろうか。
麗奈が滝先生と結婚したら、その子供に? 久美子が上級生になってから出会う、特別な後輩に? その想像は尽きない。
■黒沢ともよさんの演技がすさまじい件
二期12話の秀一と久美子が休憩エリアで誕生日プレゼントを渡すシーン。秀一がプレゼントを差し出そうとして、久美子の手がぶつかってとってに出てきた「あ、ごめん」
Twitterでも宮森あおいさんからリプを頂きました。そして二次元妻帯者の夜 Hz:第51回というウェブラジオでも35分頃から三平x2さんが「あ、ごめん」をベタ褒めしてますが、ここの自然な「あ。ごめん」、演技とはとても思えない!
総論2で書いたように、身内扱いしてる秀一だからこそ、弛緩した(油断した)久美子からとっさに出てきたナチュラルな謝罪。
二期11話で麗奈が久美子を高台に連れ出して、滝先生に奥さんがいたことを黙っていたことを攻めるシーンにて、「傷つけたくなかったから……」っていう台詞の優しい響きが、これまで聞いたことのない声色で鳥肌が立ちました。いかに久美子が麗奈をいたわっているのかが、台詞の声質ひとつで伝わってくるんですよ、声のトーンだけで。その後の「奥さん、もう、いないんだよ……」っていうのもそう。
そして二期最終話での、ラストシーンのナレーションも優しい雰囲気なんですが、「傷つけたくなかったから……」とは、その感じ方がまるで違うのだ!
「『響け!ユーフォニアム』……その音の暖かさを、わたしはいつまでも忘れない」
二期13話「はるさきエピローグ」より
この時のモノローグは「久美子が30~40代になってから、高校時代を思い返すように演じて」という演技指導が入ったそうで、親友への慈しみではなく、遠い過去の大切な宝物をそっと抱きかかえる感じというべきか。ぜひ聴き比べていただきたい。
ちなみに久美子役の黒沢ともよさんは、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の赤城みりあ役も演じられている。バブみどころか熟女久美子までの幅広い演技力には、ただただ驚嘆と尊敬しかないので、この両者もぜひ聴き比べていただきたい。
■北宇治高等学校吹奏楽部、美人コンテスト結果発表!
最後にお祭り企画。去年はてなブログ用のネタとして書き溜めていたんですが、本業激務でしばらく間が空いてしまってお蔵入りに……それを今回加筆修正しました。
第五位:傘木希美
『響け!ユーフォニアム』は演奏の時に麗奈や久美子が髪を結ってくれて、ポニーテールアニメとしても素晴らしいのですが、デフォルトでポニテなのがこの方。人付き合いがうまくて、誰とでも仲良しになれる。その快活な性格が表情にも出ていて、こりゃクラスの男子にもさぞモテてそうな感じである。
ただ、希美と付き合うときには注意して欲しい。ショートカットのオーボエ奏者が後ろから近づいてくる……かもしれない。
第四位:田中あすか
彼女はアニメ作画的に美人というだけではなく、作中において、そういう証言があるんですね。一期5話「ただいまフェスティバル」において、マーチングしている北宇治吹部を見ながらモブのメガネ男子が
「あのドラムメジャーの子、ちょー美人じゃね?」と言ってるんです。
ドラムメジャーって最初ドラム叩いてる子のことかと勘違いしてたんですが、ドラムメジャーとは、「マーチングバンドの指揮者の呼称。行進のときバンドの先頭を歩き、バトンを上下させて、曲のリズムを示したり、演奏者の隊列に対して方向転換の合図を出したりする」 つまりあすか先輩のことでした! 原作小説ではイケメン的存在として、吹部の女子にキャーキャー言われる存在とのことです。
第三位:中世古香織
部長やあすか曰く「吹奏楽部のマドンナ」。この子については、千葉県のYさんよろしく大量票を投じた某二年生に話を聞いてみましょう。
「はぁ? 吹部一の美人なんて、香織先輩に決まってるでしょっ!
優しくてぇ~、可愛くてぇ~、目尻のホクロもチャーミング!!
マジエンジェルなんだからねっ!」
……はぁ。えっ? ああ、冗談……気を取り直して、第二位の発表!
第二位:高坂麗奈
彼女の外見に関する作中の評価ってほとんど見られないんですが、「美人だけどキツイ」という世間的評価だと思うんですよね。秀一もしばしタジタジになってますが、それって美人に詰め寄られるから、余計弱気になってるところなのかなと。
それで麗奈の美しさって、外見の整った顔立ちと美しいロング黒髪もあるんですが、内面の気高さが醸し出す雰囲気も大きく影響しているのかなと。
「わたしは、特別になりたい」と強く願う少女は、自らを高めることに妥協せず、律することに躊躇せず、何者にも屈しない、強い意思の宿った瞳。
それがはっきり視聴者にも示されたのは、一期7話の高台での一件。夜景を背にして久美子は、女性にもかかわらず見とれてしまうほど麗しい姿に魅了されてしまう。
そんな力強い瞳が濁るのは滝先生の時だけ!
第一位:堺万紗子
おめでとうございます!……って、誰?って声が聞こえてきそうですが、いるじゃないですか! 吹部の超美人が!
この子ですよ、明るくてはつらつとして元気いっぱいな子。劇場版パンフには「一番楽しそうなパートだと判断してパーカッションへ」と書いてますが、作画的にも異様に力が入ってる。
下手したら葉月たち主要キャラよりも可愛く描かれていて、久美子たちは主役だけど、それでも集団の一人にしか過ぎないことをルックスで相対的に示していて、それも自然なリアル感に繋がっているのではないかと感じます。
■『響け!ユーフォニアム』が受け入れられる社会的背景
『『響け!ユーフォニアム2』公式サイト』TOPの画像。最初このキービジュアルが公開された時、「なんでカプコンの格闘ゲームのポスターみたいなのよw 久美子ってば顔凛々しすぎw」とかサイトに書いたんですが、実際始まってみたら、マジ格闘技みたいな真剣勝負のアニメでした!
こういう、恥ずかしいまでのまっすぐな青春を描いた作品が、2016年秋に『君の名は。』とともにヒットしたという現象は、社会的背景も関係してそうで面白い。
努力を長々と描く作品は、昭和の高度成長期には「頑張れば自分もお金持ちになれる、社会で成功する」姿と重ねて好まれたが、バブル崩壊以降、緩やかに経済的な下降を続ける平成では、ことさら避けられていた。主人公は才能が、超能力が、恵まれた血筋があって、初めから有利な立場で物語を進めていく。
『響け!ユーフォニアム』には、そういう人物はいない。高坂麗奈や田中あすかですら、猛練習している様子が映る。
久美子たちの泥臭い努力を肯定する前向きな気持ちが、また社会に広がってきているからこそ、この作品がヒットしたのでないかな、とも思うんですよね。
『響け!ユーフォニアム』は画面の情報密度がほんとに多くて、語れるネタにはキリがないのでこの辺で。
長らくのご清聴、ありがとうございました!
■後書き
くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、『ユーフォ』の話で盛り上がっていたら、ブログに書けばって話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、北宇治の吹奏楽部から、みんなへのメッセジをどぞ
久美子「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと先輩にたてついちゃったところもあったけど・・・気にしないでね!」
優子「みんなー、ありがと! 私のかわいさは二十分に伝わったかな?」
麻美子「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」
あすか「見てくれありがとね! 正直、本文で書いてた私の気持ちは本当だよ!」
麗奈「・・・ありがと」ファサ
では、
久美子、優子、麻美子、あすか、麗奈、俺「皆さんありがとうございました!」
終
久美子、優子、麻美子、あすか、麗奈「って、なんで俺くんが!?改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり (元ネタ)