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感想

電撃G’smagazine2009年 04月号(AA)
やっぱ『俺の妹』おもしれーーーっ!
と改めて思うわけですよ。といっても三巻が出たんじゃなくて今月の電撃G`sマガジンに書き下ろし小説が掲載されているんですが、伏見先生すげぇと思うのは文庫にして50ページ相当の短編に、『俺の妹』の面白さが凝縮されている構成が。俺の妹の魅力って今更だけど、
1京介の一人称視点によるツッコミまくる語り
2かんざきひろ先生の萌えイラスト
3桐乃や黒猫たち、個性的なヒロインの魅力
4そんな彼女たちの罵詈雑言に喜ぶ俺たち(読者)
でしょう。1についてはいわずもがな。344ページの下段のブランク前の台詞が体現している。小説だけじゃなくて最近のコンテンツ全体についてだけど、「ここで来るぞ、そろそろ来るぞ」と笑いの場所が分かりやすいじゃないですか。でもこの人のギャグって、気づかないうちにフッと懐に入り込んでくるんで不意を突かれる。死角から打たれるパンチは覚悟が出来ないんで意識が刈り取られるって『はじめの一歩』で言ってたでしょ。予想できないんでダメージでかいんですよ、案の定、件の箇所でブッと吹いてしまって本に唾が……雑誌って面積大きいしね。
2も、今回の主役は黒猫ということでゴスロリ中二病オタは祭り必至。かんざき先生の新イラストが一面にババン!と載っているんだが、これまで文庫サイズでしか拝めなかったかんざきヒロインを、ここまででかいサイズで見られるのは初めてなんじゃなかろうか。しかも黒猫のアップ! それもポーズが何とも……まあこれは実際に見て下さい。家に帰って黒猫がこんな風にいたらと思うと、俺は理性を止める自信がないね(俺はロリコンじゃないけど)。
3と4。今回は桐乃と黒猫のガチバトルが再度勃発するんだけど、2巻の夏コミで並んでいるシーン。あれを10倍の濃度にしてページ数を10倍増やした感じ。つまり当社比100倍の罵り合いになっとるんだけど、好きなアニメの矛盾を突っ込まれて言い返せない桐乃が、いつぞやかのオタ飲み会で『リリカルなのは』で口論していた俺ともろに被る。というかメルルの元ネタも『なのは』だよね? 今更だけど。
あと創作の中の創作だとわかっていても、伏見先生の小説でレイプとか単語が出てくるとびっくりするわ。そういう事と無縁の世界観なもので。あと単語と言えば「トゥルー妹」も出てくるんだけど、この雑誌でそれをやるんか、メタだね-。
あやせが出てこないのは残念だけど、これ一本で十分、初めて読む電撃G`sマガジン読者に『俺の妹』の良さは伝わったと思うし、既存の『俺の妹』ファンも楽しめる出来でしょう。というか伏見先生は書けば書くほど文才が上がっていくタイプだから、後発の小説ほど面白いんだと思う。
さらに今回はなんといってもこれまでサブヒロインに甘んじていた黒猫がメインになるのだから、ここはエールを送る意味でもG`sを買って読むべき。この短編が文庫に収録されるかわからんですし。前髪パッツン娘マーベラス!!(俺はロリコンじゃないけど)
以下、ネタバレ
5番目の伏見作品の魅力は、感情の移ろいを短いセンテンスで表現する言語使いっぷりだと思う。最後のページの真ん中辺、「『……ブス専……』」から「冷めた得心を漏らす。」までの4行、凄いと思わない? 「ブス専」から思考を巡らして、京介に近しい女がいることを感知して瞬時に諦めたってことだよね。この気持ちの揺れ動きを短い4行に凝縮したんですよ。で、照れ隠しのために罵倒トークでごまかして、悟られないようにする黒猫。しかもこういう感情のディティールを、三人称の俯瞰視点ではなくて京介の一人称で客観視点から描いて、読者に気づくか気づかれないか微妙なさじ加減で、ほんのり伝わるような小出しにする。
日本の義務教育を卒業した人なら、文字を使って文章を書くことは誰にでもできるでしょう。でも文章で、感情の機微をここまで描く(「書く」ではなく、もはや「描く」の領域だ)ことが出来る作家ってどのくらいいるんだろう。そういう伏見文章のキモが今回も入っていたので、その意味でも『俺の妹』の面白さが凝縮されている短編なんですよ。
あとこのシリーズのお約束の〆の言葉ってありますよね? 今回も最後から7行目のコレなんですが、まさに伏見マジック発動! もうこれでいつも余韻に浸れますわ。
とか長々と書いて、違うとか伏見先生からツッコミ入ったら恥ずかしくて死んじゃうぜ。曲解じゃありませんように……。
■
漫画版は第二話。ようやく桐乃の可愛い部分が出てきたね。やっぱり冒頭だけじゃ桐乃の魅力は伝わらんかったっす。先月号に、今回までのストーリーを一挙二話掲載で載せればよかったんじゃないかな。
漫画描いてるいけださくら先生って口の描き方が特徴的だよね。最後のコマの猫口が気になるー。